想像力や問題解決能力が養える! 子供向けプログラミングアプリ

プログラミング教育が2020年から小学校でも義務教育化されます。それに伴い、子どものプログラミング学習がにわかに脚光を浴びています。今回は、『AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55』の著者・五十嵐悠紀さんに、幼児期におけるプログラミング学習のポイントと、未就学児〜小学校低学年が楽しめるおすすめアプリについて話を聞きました。

未就学児〜小学校低学年に「プログラミング学習」は本当に必要?

プログラミングを早く学ばせればいいというわけではないそうです

今や誰もがスマホを持ち、IoTと言われるさまざまなモノがインターネットにつながる時代。人工知能搭載のコンピュータが人間の仕事の一部を代替する「AI時代」が、もうそこまできているとも言われています。子どもたちが大人になる頃には、親たちが想像もしていないような職種や生活が待っているかもしれません。

とはいえ、プログラミングを早く学ばせればいいというわけではないそうです。

「プログラミング言語も開発環境も、日々変わっています。これからのAI時代に備えて磨くべきは、プログラミングスキルそのものではありません。大切なことは『プログラミングを学ぶ上での意味』を親が考え、プログラミングを通して子どものどういった力を伸ばしたいかを意識することです」

「プログラミング学習を推奨する人たちは、問題解決能力や論理的思考力、想像力を身につけたり、自分に自信を持ったり、他人とコラボレーションしたりといった能力を身に着けることとプログラミング教育の親和性が高いと提唱しています」

幼児期のプログラミング学習は「人生の土台づくり」に活かそう

「非認知スキル」とは、やる気・自信・協調性などを指します

こうした能力は「非認知スキル」と呼ばれ、幼児期からでも十分鍛えることができ、近年重視されているのだそうです。

幼児期は人生の土台作りをする時期といわれています。IQや学力的検査によって測られるような『認知スキル』に対して、『非認知スキル』は、やる気・自信・協調性などを指します

「幼児期には非認知スキルにおける、好奇心や関心といった態度の部分を遊び中心に育てていくことが良いとされています。この時期のプログラミング学習を通じて、お子さんがどんな新しいことに興味を持つのかを探してみると良いと思います」

プログラミング学習で身につく非認知スキルの具体例

  • 答えや解決方法は誰かが与えてくれるものではなく、自らが考えるものだという意識
  • 一息に解決することが難しい問題でも、無理だと諦めるのではなく、問題をいくつかに分解して考えることで、解決の糸口を見つける能力
  • 「自分でできた!」という成功体験

おすすめの無料プログラミング学習アプリ3選

ご自身も2男1女の母親として、プログラミング学習を楽しみながら育児に取り入れてきたという五十嵐さんに、おすすめのプログラミング学習アプリを3つ紹介していただきました。

スクラッチジュニア(無料)

スクラッチジュニア

「もっとも有名な子ども向けプログラミング言語は『Scratch(スクラッチ)』だと思いますが、こちらのアプリはタブレットで動かせ、低年齢児にもなじみやすいと人気の『スクラッチジュニア』。絵を組み合わせていくタイプのプログラミングである『ビジュアルプログラミング言語』を学べる無料アプリです」

スクラッチジュニアをダウンロードする【iPhone用】スクラッチジュニアをダウンロードする【Android用】

ビスケット(無料)

「こちらもビジュアルプログラミング言語ですが、スクラッチとは異なり、『めがね』とよばれるルール(規則)を絵で表現することで、アニメーションや動き、計算するプログラム等を組んでいきます。総務省の『若年層に対するプログラミング教育の普及推進』事業にも採択されており、各地でワークショップも開催されているので参加してみるのもいいですね」

サイト上の動画では手順が丁寧に説明されているので初学者でもわかりやすいようです。

ビスケットをダウンロードする【iPhone用】ビスケットをダウンロードする【Android用】

MESH (アプリ:無料/センサー:有料)

センサーやボタンなどの機能ごとに用意されたブロック形状のIoTデバイスを用いて、アプリ上でプログラムを組みます。実世界での操作・動作と連携したプログラムを組むことができ、電子工作やArduino等との連携も可能で発想次第で様々な発展が考えられます」

「アプリはドラッグアンドドロップで直観的に操作ができるので、幼稚園児でも楽しめる上に、実世界のものを動かすことができるため、アプリで完結するものに比べると、喜びもひとしおです」

ブロック形状のIoTデバイスが少し高額なのが難点ですが、各地でワークショップや体験会なども開催されているようです。

MESHをダウンロードする【iPhone用】MESHをダウンロードする【Android用】

【番外編】マインクラフト Hour of Code

「こちらはアプリではないですが、大人気のゲーム「マインクラフト」を題材にした、ゲームの世界を自分で動かせる子ども向けの入門学習教材です。世界中の子どもや学生のプログラミング学習を支援する団体『Code.org(コードオルグ)』が提供しており、パソコンを使って1時間でプログラミングを学ぼうというものです」

小学校2年生以上が対象と、スクラッチジュニアやビスケットに比べると少し年齢層は上ですが、コンピュータを動かすために欠かせないプログラムの命令(コマンド)を学んでいけるステップが組まれているそうです。

ここでご紹介したアプリや教材は、どれも『コンピュータってこんなことができるんだ!』と楽しんでもらうことを目的に作られています。難しい機能は省かれていますが、将来的にほかの言語でプログラミングをする上での思考法が身につく素材です

キャラクターがいて前から敵が迫ってくる仕様のゲームなども、これらのアプリを使えば子どもでもすぐに作ることができるとのこと。

「わたしは、子どもにゲームアプリで遊ばせるだけではなく、自分でゲームを作ることを促すこともしています。すぐに完璧なゲームを作り込むことはもちろんできません。ですが、前から敵が迫ってくるものを作れたら、次は『敵にぶつかったらゲームオーバーって出してみよう』『敵をよけるためにジャンプさせてみよう』などと、1ステップずつプログラミングをして進めていくうちにゲームが完成していくのです」

親の投げかけひとつで、試行錯誤する力を身につけることができるという点は見習いたいですね。


非認知スキルを伸ばす、おすすめの知育アプリ

「プログラミング教育にばかり注目を浴びていますが、大事なのは、先にも述べたように、問題解決能力や論理的思考力、想像力を身につけることです。プログラミングはそういった非認知スキルを伸ばすための1つの手段として注目されているのだと思います」

プログラミング学習の導入としても役立つ、非認知スキルを伸ばす知育アプリも紹介していただきました。

ピッケのつくるえほん(有料)

(c) Tamie Asakura

「第5回デジタルえほんアワード」のデジタル教材賞で準グランプリを受賞した自分だけの絵本を作ることができるアプリです。

キャラクターを配置していくだけで場面を作成できます。文字入力をしながら、ひらがなのお勉強につなげることもできそうです。また、文字が入力できない小さな子どもでも、音声でお話を吹き込んでいくことができます。

「お話をつくりながら創造力を育めるだけでなく、印刷してハサミで切って本を作成したり、それを家族やお友だちの前で読んで発表会をしたりとアナログにも転換して楽しめる優れものです」

ピッケのつくるえほんをダウンロードする【iPad用】

Think!Think!(無料)

Think!Think!

1回3分の問題を1日に3つまで遊べるアプリです。子どもが夢中になっても、時間が区切ってあるので遊ばせやすく、学ばせやすい素材の1つです。

「空間認識や平面図形など、普通の教科書では把握しづらい問題に対して、平面の展開図がアニメーションで立体になっていくなど、デジタルの良さを活かした教育コンテンツです」

Think!Think!をダウンロードする【iPhone用】Think!Think!をダウンロードする【Android用】

子どもにプログラミングアプリを利用させる親の心得3つ

アプリ利用時の注意ポイントとは?

最後に、お子さんとアプリを利用する際に注意したいことを教えていただきました。

(1)親もまず使ってみる、親も一緒に楽しもう!

親が苦手、やったことがないという理由でそのアプリを使わせないのではなく、親も一緒に遊ぶくらいのつもりで使ってみましょう。そろばんアプリがきっかけで数字に、ドラムアプリをきっかけに太鼓やリズム、音楽に興味を持つかもしれませんよ」

(2)終わらせるときは時間ではなく、良い区切りで

「10分だけね、等と時間で区切るのはやりがちだと思いますが、いくら約束したからとはいえ、即座に取り上げてやめさせると子どもは大泣きしたり反発したりするものです。ときには部屋にこもって親の目を盗んで遊んだりするかもしれません」

時間で区切るのではなく、次に良い区切りが来たときに、終わるような声かけをすると、子どもも比較的スムーズにやめることができ、『自分の意思で終わりにできた』という自信にもつながります

(3)プライバシーを守れるようにサポートする

インターネットは外の世界につながっていること、自分の名前や写真などをアップすることは危険が伴うことなど、具体的に説明しましょう。我が家では、ゲームを始めるときには子どもと一緒に初期設定画面を見ながら、『なぜ本名を付けてはいけないか』などを説明しています」

「また、息子がゲームの最中にシステムから『どこに住んでいるの?』と入力を促されたことがあります。息子が『○○県○○市』と入力しようとしているところを止めて、『公園の横だよ、にしようか』と促すと同時に、『なぜ本当の住所を入れるといけないか』について話し合ったりしています」

子どもには安全面や生活習慣にもしっかりと気を配りながら、成長の機会をたくさん持たせてあげたいもの。

「良くも悪くも、幼児期〜小学校低学年の間は、親が整えた環境の中で生活しているということを意識する必要があると思っています」という五十嵐さん自身の母としてのコメントは、覚えておきたい名言です。

お話を聞いたのは…
五十嵐悠紀先生
明治大学総合数理学部専任講師。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学) 。日本学術振興会特別研究員を経て2015年より現職.専門はコンピュータグラフィックスおよびユーザインタフェース。情報処理推進機構(IPA)未踏事業プロジェクトマネージャ、Yahoo!ニュース個人オーサーなども務める。2男1女の母。
AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55

ライター紹介
藤川理絵
1児の母であり、「米国CCE, Inc. 認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー」「編集者・ライター」2つの専門職を兼業するパラレルキャリア実践家。『Becoming』(http://becoming-you.org/)にてキャリア相談サービスも提供。

※2017年11月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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